くるみの「好きなものだけ。」

９月某日、東京のあるスタジオにて。
くるみさんとは初対面だった。「こんにちわ」と声をかけると、ごく普通の女の子のように、はにかみながら「初めまして」と一枚の名刺を差し出した。そこには線画のイラストが描かれている。こちらもなんだか照れくさくなって、とりあえず「絵が好きなんですか」と聞く。彼女は小さく頷く。そしてニッコリ、目を細めて「絵がものすごく好きなんです」と言った。その声は、鳥のさえずりのように、小さくて可愛い。その声音を聞いているだけで、彼女の世界に引き込まれてしまうようだ。そんなドキドキのインタビューが始まった。

小さい頃の夢

「ちっちゃい頃は、漠然と、お花屋さんになりたかったんです。でも少し大きくなってくると、絵を描いていることがすごく好きだとわかり、イラストレーターもいいなと思うようになりました。とにかく暇さえあれば描いていて、お友だちの誕生日には、似顔絵などを書いてプレゼントしていました。学校でも絵で賞状をもらったりしたんですよ。

でも、将来の仕事のことを具体的に考えるようになった頃から、運動が好きなので、スポーツで体を故障した人をケアするリハビリのような仕事がしたいなと思うようになっていきました。また、おじいちゃんやおばあちゃんのことも大好きなので、お年寄りの体も運動でケアできるお仕事、理学療法士（PT）になろうと思って、大学は医療系に進学したんです」

今の自分

「モデルのお仕事は、大学時代に、サロンモデルの声をかけられたのがきっかけです。それから少しずついろんなモデルのお仕事に声をかけていただくようになって、SNSを始めたんです。自分の写真や好きなファッション、趣味で作っているアクセサリーなど、好きなコトや好きなモノを載せていくうちに自然とフォロアーが増えていきました。そこからまたお仕事が広がっていったんです。そんな風に好きなコトばかりやっていたら（笑）、自然と今の自分になった感じです」

自分を甘やかさない

「大学時代、じつは病院実習がたくさんあって大変だったんです。日本の中でも医療系のトップレベルの学校だったから厳しくて、好きではないコトもいっぱいしなくてはいけない時期だったけど、それを乗り越えなくてはいけないと思ったし、その経験は今振り返ると良かったなと思っています。今はモデルのお仕事をさせてもらっていますが、来年の2月にはやっぱりPTの資格試験を受けようと思っています。やっぱり、自分を甘やかしてはいけないなと思って。今は好きなことをやる時期だと思っていますが、またこの秋冬は勉強をして、資格取得を目指しているんです」

好きなファッション

「流行に乗るのはあまり好きではありません。でも、今のお仕事をしていると、流行を少しは知っていたり、取り入れないと、スナップなどのお仕事ではダメなので、そこは把握しつつも、自分の好きなものを着るようにしています。ただ、アクセサリーに関しては、売っているものはあまり可愛いと思わないので、自分で作っちゃいます。私は、自分の好みでないものは全く目に入らないんです。だからコレ欲しい！って思うときはハッキリしています。でも、買い物はものすごく迷うんですよ。欲しい！好き！って思っても、自分に本当に似合うのかってすごく考えるからです。私は、モード系が好きで、目に入りやすいのですが、バチバチなモード系は自分に似合わないので、「抜け感」があるもので、服を選んだり、コーデ決めたりしています」

好きな色

「カラフルな服とか主張しすぎる服が苦手です。自分の顔が派手ではないので、私の場合、服が派手になるとバランスがすごく悪い。だから無地の服を基本的に選びます。柄モノは多分、着れないんです（笑）。部屋も同じ感じで、ごちゃごちゃしているのが苦手。統一感があるのが好きだから、色や質感は統一感あるようにします。部屋は白が開放感あって好きです。壁が白い部屋なので、棚や家具などは白に塗ってしまいました。思い立ったらすぐ、やっちゃうんです」

好きなモノ

「アクセサリーは、可愛いと思っても、自分で作れるものは作ります。また、自分では作れない、好きなブランドさんで、いいな、と思ったらテンション上がって、買っちゃいます。最近では、このTOGAのイヤリングを見つけて、すごく嬉しかったんです。前から欲しかったんですが、ずっと完売していて、それをセレクトショップで偶然見つけて、「見っけ〜」って感じでした。とにかく好きなモノが好き！　当たり前ですけど。（笑）」

好きな空間

「実は私「壁フェチ」なんです。コンクリートの壁とか、白い壁とか、質感の良い壁が好きです。コンクリートの床や質感の良い床材も好き。そういうものに囲まれた空間、特にカフェやショップは好きでよく行きます。ファッションと一緒で、ごちゃごちゃしてたり、カラフルな空間より、シンプルで質感の良い場所は、開放感があって好きなんです。」

苦手なコトを話すとき、苦い顔をする。好きなコトに関しては、うっとり顔になる。とっても素直な人なのだ。今日の取材場所は、壁が白く、床もコンクリートだったので「好きっ！　ここで眠りたくなる」と、とってもご機嫌。もっともっと彼女の好きなコトを、知りたくなってしまった。