Our Favorites #06 寺田尚樹　[リモワのスーツケース]

今回の達人はテラダモケイの寺田尚樹さん。
長年使い込まれたスーツケースを紹介していただきました。

寺田尚樹／建築家・デザイナー・モデラー・料理研究家

67年　生まれ
89年　明治大学建築学科卒業
94年　英国建築家協会建築学校（AAスクール）ディプロマコース修了
03年　テラダデザイン一級建築士事務所　設立
11年　テラダモケイ　設立
テラダモケイ

ドイツの航空機をイメージしたスーツケース

―では早速ですが、お気に入りのものを紹介してください。

はい、こちらです。リモワのスーツケース。

モノホックボディと言って日本語で応力外皮構造と言うんです。
開けておくとべにゃべにゃなんですが、閉めると、しっかりします。
こういった構造はリモワが初めてだと思いますね。

どんな時にでもカチカチの固い状態より、必要な時だけ固くなるというのが、機能的にも理にかなってるんです。
多分、こういうことってあんまり知らない人が多いと思う。

もともと1930年代のドイツ航空機のメーカーをイメージしてるような気がします。
そのドイツの飛行機もリブの部分があって、そのイメージをそのままデザインに生かしています。
そういうのが、僕は面白いなと思いますね。

―最近は樹脂の、プラスティックが流行ってきてますよね。

はい、でもやっぱりアルミのボディがいいかなと思ってます。
こういうスーツケースはどんどん傷が付いたり、シールを付けられたり投げられても、なんかいいっていうか。
傷が付けば付く程、いとおしくなる感じですよね。
シールなんかも、貼られていることで思い出がよみがえるんです。

この大きさなら・・1週間から10日くらいいけますね。
この大きさ以上だと重くなっちゃうので、チェックインの時、重量オーバーになっちゃうんですよね。なので、飛行機にのせることを考えるとこれくらいが限界かな。

―黄色のテープが特徴的ですね！

最近だと、リモワのケースを使っている人が多くて間違えて持っていかれてしまうことがあるので、黄色いバンドを付けて目印にしてます。

―今も現行で作られてますか？

うん、出てます。ただ、アメリカはこの鍵が駄目なので、細かいマイナーチェンジはあります。
結構高額なスーツケースですが、何十年も使えるので、まあいいかなと。

永く愛せるものがいい

―デザインについては・・

やっぱり、永く愛せるようなものがいいと思います。
一瞬だけ、皆にちやほやされて、すぐに廃盤になってしまうものより、何十年も皆に愛されるようなものというのは、今流行っているものより何か理由付けや、普遍的な価値を見いだせますよね。

このリモワのスーツケースで言うと、
・堅牢であること
・軽いこと

この二つをクリアしようと思ったとき、やっぱり飛行機なんですよね・・。
まさに丈夫で、軽い。そういった意味で、飛行機の設計が表現されてるのが、これなんです。
アルミ合金、応力外皮構造、波板構造・・おのずと、飛行機のデザインに似てくるんですよね。

合理的で理にかなっているから、飽きられない。そういったものに魅力を感じますね。
常にピカピカである必要はないし、シールをべたべた貼られることによってどんどん思い出深くなっていくし、道具としての美しさが生まれてくるんです。

住宅でも、新しいものがもてはやされる傾向がありますが、傷が付いても、日に焼けて塗装があせてきても、それがいいって思えるって大事なことじゃないですか。
長年付き添って、時間を一緒に共有して、一生添い遂げる。そういった余裕が大事だと思います。

―なるほど・・、確かに長年連れ添った夫婦と考えると、しっくり来ます（笑）

行列のできるスープカレー屋の向かいです

―最後に、下北沢の魅力を教えてください！

丁度向かいにある、マジックスパイスっていう赤い看板の、スープカレー屋さんがなかなか人気なんですよ。休みの日は行列も出来るんですよ。
その待ち時間に、テラダモケイに来てもらうっていう狙いも。笑

飲み屋だと、椿っていう、やきとん屋も行きます。狭いですけどね。
休みの日は、もっぱら家でプラモデル作ってますよ。

素敵なカフェ？
うーん、下北沢ではありませんが、品川の原美術館のカフェはすごく素敵ですよ。
仕事柄、美術館は良く行くので・・。庭があったりとかして、こじんまりしているけど
ちょっと友達の家に遊びに行くような感覚で、楽しいですよね。

-ありがとうございました！！

（編集後記）
楽しいお人柄の寺田さん。プラモデルが本当に好きなんだなと伝わってきました。
リモワのスーツケースは、寺田さんに聞けば聞くほど、欲しくなってしまうほど。
持ち物すべてにこだわりを持ち、本当に気に入ったものを大切に使い続ける。
そう思わせてくれるモノたちが、やっぱり最後に選ばれるデザインなんだと思いました。