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Our Favorites #07 藤森泰司 [Pentel グラフ1000(フォープロ)]

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暮らしの達人に、お気に入りの品を伺うコラム、Our Favorites。
今回の達人は、家具デザイナーの藤森泰司さん。普段づかいはもちろん、商品スケッチにも欠かせない筆記用具を紹介していただきました。

藤森泰司/家具デザイナー
1967年埼玉県生まれ。1991年東京造形大学造形学部デザイン学科卒業後、家具デザイナー大橋晃朗に師事。
1992年より長谷川逸子・建築計画工房に勤務。’99年に藤森泰司アトリエ設立。
藤森泰司アトリエ

手書きの良さ、を伝えるための紙とシャープペン

―今回ご紹介いただくのは、ぺんてるのシャープペン、グラフ1000(フォープロ)ですよね。いつごろから使ってらっしゃるものですか?

仕事を始めたときからなので、20年くらい前からですかね。デザインもたぶんあまり変わっていないです。
打ち合わせのメモとか、普段使いもしています。
スケッチを書くときには、0.3mmと0.5mmを使い分けていますね。0.3mmは詳細なスケッチが必要なときに。

グラフ1000(フォープロ)

―すごいですね。タッチがとても素敵です。これは定規などは使っていないんですか?

はい、そうですね。全てフリーハンドで書いています。
紙は、コピー用箋という紙で、これだとグリッドがあるし、コピーしたときに線が青いので見えなくなるので便利なんです。これも仕事を始めたときから使っていますね。
仕事はほとんどコンピュータになってきていますが、最初にコンセプトを伝えるとき、コンピュータで書いてしまうより、手書きで書いた方が伝わる気がするんですよね。あえてプレゼン書に入れたり。

―これを気に入っている点は?

筆圧が強いので、ペン先が弱いと曲がってしまうんです。これはペン先が真鍮になっていて、持ったときのバランスがいいんですよね。
グリップがゴムになっていて、でも全部がゴムではなく、滑りにくくて持ちやすいので気に入っています。かなり良くできていて。
たぶん、1,000円くらいでしょうか?
ステッドラーの、2,000円とか3,000円するものも使ったことはあるんですが、やっぱり最後に選んでしまうのはこれでしたね。

絶対、これじゃなくてもいいんですけど、あっちもいいけどこっちもいいな、でもやっぱり意識しないでなんとなく傍にあるって言う感じでしょうか?
無くなってから初めて、困るみたいな。

―長年連れ添った、奥様みたいな感じですね!

(一同、爆笑)

あはは、いや、奥さんは普段から意識しないとって思ってるんですけどね(笑)

はっきり線を出したいときにペン入れするのはパイロットのドローイングペンです。0.1mmだけ。でもだんだんペン先は太くなっていくんですが。
これは150円くらい。これもカートリッジ式とかも使ってみたんですがなんか合わなくて。

―このペンじゃないとなんとなく調子が出ないな、とか。

そこまで大袈裟でもないですが、意識していないんだけど、身体の一部になっちゃってる。なくなったとき初めて困るような。
どこか少し抜けがあるというか、こうしなくちゃいけない、というものじゃなくて、まぁこうしておくかくらいのもののほうが、人の意識が入っていきやすいというのがあって。

アイディアを出してから、製品になるまで

―店舗のデザインなどもしていらっしゃるんですよね?

もともとインテリアとか家具を勉強していたんですけど、卒業してから家具のデザイナーについて、その先生のつながりで建築家の事務所に。独立したばかりの頃は建築家の方と一緒に、什器をぜんぶ設計するという仕事でした。
だんだん商品をやるようになっていまは半々です。

―商品のアイディアって、どういう時に出るものなんですか?

本当は、散歩してるときに思いつくっていうほうがカッコイイんですけど(笑)、意外と、出す!って言う感じですよ。
散歩してるときは逆に、なんにも考えないようにして、机に向かったときにがーっと。
たいていの場合、期限もありますしね(笑)。

―ひとつのプロダクトを作るときのスパンってどのくらいなんでしょう。

椅子1客で1年くらいかかります。
商品として依頼を受けてから発売するまでに。うまくいかなくてもっとかかるときもあります。
挑戦するようなプロダクトの場合は特に。耐久試験もありますし。

昔ながらの店、物に惹かれる

―ふだんよく行かれるお店は?

お酒が好きなんですよね、北区に古くからの飲み屋さんがいっぱいあって。特にどこがっていうのは決められないですが。
喫茶店も好きでよく行きます。昔からやっているところって、お年よりもいればなにか仕事の面接をやっていたりとか、おもしろいですよね。
新しくておしゃれなところというより、昔からの、人によってできている場所って、デザインできないんじゃないかと思って。

―デザインソースにしているものはありますか?

ウィンザーチェアって知ってます?それの研究会を作っていて。古いイギリスのやつを買ったりするんですよ。
この雰囲気はなんでこんないい感じなのかな、ていうのは、すごく調べたりしますね。

―いちばんお気に入りの家具は?

もちろんユーザーとしては家具買うんですけど、ちょっと大袈裟ですけど、自分でデザインしているということは、もっといいものができるんじゃないかと思ってデザインするので。なので今いちばんお気に入りというのは難しい質問ですね。
お気に入りの家具屋さんはありますよ。ちょっといいの入ったら教えて、とか。

吉祥寺のトランジスタっていうイギリスの家具のお店はいいですよ。アーコールっていうメーカーの家具を、リペアして売っていて。そのお店のひとは本当に家具が好きで。すごくいいと思うんですよね。

吉祥寺トランジスタ

(編集後記)
「あまり、これだ!というものはなくて、どうしようかと思ったんですけど、そういえばずっと使い続けているものといえばこれかなぁと思って」と、いつも身近にある筆記具を教えてくれた藤森さん。打ち合わせの際になにげなく使っていて「それなんですか?」と尋ねられ、以降、尋ねたひとも使いはじめる、ということもあるんだとか。
長年連れ添う女房、といいますか相棒、といいますか、そういった品物があるって素敵ですよね。

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