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北欧ヴィンテージ家具入門 vol.1

温かみのあるデザインに惹かれて。

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北欧ヴィンテージ家具入門 vol.1

お部屋選びと同じくらい大事なのが家具選び。長い時間を一緒に過ごす家具は、見た目や使い勝手はもちろん、長く使えて愛着を感じるものがいい。とくにグッドルームがおススメするのは味わい深い北欧ヴィンテージ家具。月日が経っても色褪せることのなく、リノベ物件にもよく似合う。その魅力について紹介しよう。
(text:Ako Tsuchihara/ photo:Kayoko Aoki)

そこにあるだけでいい

日本人は、北欧家具に惹かれる。なぜだろう。
熟知している人にとっては愚問かもしれないけれど……

北欧のヴィンテージ家具好きな友人が、こう言った。
「シンプル、機能性、温かさ、柔らかいフォルム、オーガニックデザイン、斬新性など、たくさんの言葉で評価されるけど、もっと単純に、そこにあるだけでいいと思うんだよね」と。

「たとえば、モーエンセンのシェーカーチェア……。

座らなくても、見ていてホッとするでしょ。オシャレだとか、上質だとか、そういう気取った言葉でなくても、大事なものがそこにあるというオーラかな」

しみじみと言った友人を見て、これは、まずいと思った。理屈抜きというのは一番苦手だ。知りたい。わかりたい。ヴィンテージ家具に関してド素人だが、その魅力を探してみようと思った。

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VOL.1 長野・上田の「haluta」へ行く。

「haluta」は、東京、長野県上田市、さらにデンマーク・コペンハーゲンに拠点を持ち、北欧ヴィンテージ家具や雑貨の輸入販売をしている会社だ。中でも、自然豊かな上田には、「haluta AndelLund」という大きな倉庫を持ち、ヴィンテージ家具や雑貨がたくさんストックされているという。日時限定で一般公開しているというので、まずは、ここを訪れることにした。

haluta AndelLund
住所:長野県上田市小泉821-1
電話:0268-71-3005営業:火土日、祝日 13:00~17:00 
※毎月の営業日及び営業時間に関してはホームページnewsにて掲載
http://www.haluta.jp/shop/

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ヴィンテージ家具の倉庫

倉庫を訪れたのは、冬の始まりを感じるひんやりとした朝。色づき始めた山々に囲まれ、澄んだ空気の中にひっそり佇む「haluta AndelLund」を見つけた。
敷地内に入ると、番号が刻印された倉庫たち、いくつものプランターが目に入る。

戦時中、飛行場だった約4000坪の敷地、戦後、飛行機のパーツを作る工場や倉庫として使われたという。どうりで、1つ1つが巨大だ。まずは、じっくりと倉庫内を見物してみよう。

1940〜70年代を中心とした北欧ヴィンテージ家具がストックされている。

1940〜70年代を中心とした北欧ヴィンテージ家具がストックされている。

「haluta AndelLund」は、倉庫だけではなく、リペア工場、ショールームなどで構成されている。コペンハーゲンに住む社長兼バイヤーの徳武睦裕氏が買い付けたヴィンテージ家具が毎月1度ここに運ばれる。1つ1つ状態を見ながら、職人が修理やファブリックの張り替えといったリペアを行うのだ。

丁寧に張り替えたスツールやチェストたち。ミナ・ペルホネンのファブリックで、温かみのあるスツールに。

丁寧に張り替えたスツールやチェストたち。ミナ・ペルホネンのファブリックで、温かみのあるスツールに。

写真後方、立てかけてあるのは、入手しにくいハンス・J・ウェグナーのデイベッド。なんと100以上もある。

写真後方、立てかけてあるのは、入手しにくいハンス・J・ウェグナーのデイベッド。なんと100以上もある。

halutaの前身は、初代社長が戦後に始めた一軒の食堂。洋菓子店や喫茶店と店舗を増やし、現在3代目の睦裕氏は、カフェやパン屋、雑貨、インテリアやアパレルなど、さまざまな方面からのライフスタイルの発信にフィールドを広げていった。そんな中、1998年、睦裕氏は偶然、フィンランドのアルテックの家具に出会う。その家具から「引き継ぐ」という北欧の暮らしに惹かれ、後にコペンハーゲンへ移住。自ら家具や雑貨のバイヤーとなり、北欧と似た空気を持つ上田を発信地として現在のhalutaスタイルを築いたのである。

デンマークやスウェーデン、フィンランドで収集したアンティーク雑貨も揃う。

デンマークやスウェーデン、フィンランドで収集したアンティーク雑貨も揃う。

スウェーデンのデザイナー、エリック・ホグランのガラスの作品たち。

スウェーデンのデザイナー、エリック・ホグランのガラスの作品たち。

デンマークのイェンス・クイストゴーがデザイン、ロングセラー「コーディアル」。

デンマークのイェンス・クイストゴーがデザイン、ロングセラー「コーディアル」。

中央は、フィンランドの人気デザイナー、ウラ・プロコッペのカップ&ソーサー。

中央は、フィンランドの人気デザイナー、ウラ・プロコッペのカップ&ソーサー。

リペア職人

今回、案内してくれたのは、halutaのリペア職人・稲田正明さん。彼は大学卒業後、インテリアの会社に就職し、業務用家具のデザインを経験したが、家具を自分の手で作りたいという夢を持ち退職。長野・木曽に移住して、木工大工を勉強している時に、現職と出会った。
「北欧の家具デザイナーは、皆、家具を作る職人でもあります。しかし、実際に勉強してみると、1から作るというのは、スキルの勉強だけでなくとても大変で難しさを感じていました。そんな時、ここでヴィンテージ家具を直して再現するという職に出会い、今の自分に必要なことだと思ったんです」

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引き継ぐ

「ものは壊れるもの。ならば、もともと直せるものを作ればいい。とりあえず、という家具の作り方をしないし、買う方も、とりあえずと言って買わない。自分が長く使った家具を、今度は自分の子どもや孫など、次世代に繋ごうと考えます。だから、ここに送られてくる1940〜70年代を中心とした北欧ヴィンテージ家具は、細部を見ていると、引き継ぐことを想定し、考え抜かれた素晴らしい知恵の結集なんです」(稲田さん)

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再現

リペアというのは、家具を1から作るのとは違い、再現というスキルや使う人のオーダーに応えるスキルを要する。
「例えば椅子やソファのクッション部分を開けて見ると、馬の毛で丁寧に型取られていました。一般に使用されるウレタンに比べ、馬の毛のクッションは座り心地の良さだけでなく、その心地よさが何十年も続く。これを再現するために、同じ材料、同じ製法を再現するんです」

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ヴィンテージの物語

「リペアをやっていて楽しいのは、デザイナーの熱意に触れるということもありますが、もう1つは、使っていた方の生活の一部に触れられることです。ウェグナーの名作、GE258 デイベッドは、学生寮に多く使われていたソファーベットですが、解体してみると、人の名前やメッセージが書かれていたりするんです。基本的には消しますが、一度、「kärlek」(愛)という文字を見つけて、愛は消せないな、なんて思ったりして(笑)。そんな風に、ヴィンテージには様々な物語があって飽きない。魅力は深まるばかりです」

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