TOMOS 都会と森とわたし
1R(45.95㎡)
写真家・ライターの大山顕さんに、ちょっとおもしろい撮り方で、無垢床リノベーション「TOMOS」のお部屋と住んでいる人の「平面図」を撮ってもらうシリーズ。
今回は、ひとり暮らしを始めたばかりの女性のお部屋を訪問。しっかり吟味して選ばれた家具とお気に入りのキッチンで、週末はケーキ作りを楽しむ素敵な生活がスタートしていました。(編集部)
text & photo : Ken Ohyama
ぼくの実家には大きなテーブルがあって、子供の頃からそこで食事をしたり宿題をしたりしていた。いまでもそのままある。大人になってから気がついたが、広くないマンションのリビングには不釣り合いな大きさだ。おかげで、ぼくはいまでも大きなデスクやテーブルがないと落ち着かない。
おそらく人は「大きな机あるいはテーブルが必要なタイプ」とそうでないタイプとに大きく分けられるのではないか。本連載で訪問した部屋はどれもすてきだが、なかでもぼくが親しみを感じるのは、大きめのデスクやテーブルがある家々だ。だから、今回の大谷さんの部屋にも親近感を感じた。
ワンルームで2面採光。明るくてすごく素敵な部屋。「陽当たりがいいのが気に入ってます」という大谷さん。しかしぼくは玄関をくぐるなり「このテーブルいいですねー!」と声を上げ、その後も何回か同じセリフを繰り返していた。どれだけテーブル好きなのだろう、ぼくは。
それにしても、いわば「ザ・東京ひとり暮らしワンルーム」とでも言うべき部屋に、この大きさのテーブルを置くのはかなり工夫がいるはずだ。へたをするとベッドとこのテーブルだけで部屋がいっぱいになりかねない。その点、大谷さんは、実に上手なレイアウトで大きめのテーブルがあるワンルームを実現している。
テーブルが置かれているこの場所は、ふつうキッチンと部屋の「通り道」として認識されると思う。ここに家具を置くのには勇気がいる。しかし、広くない部屋だからこそこういう場所を上手く使うことが重要なのだ。そう気づかされた。大谷さんすごい。
置き場所だけでなく、テーブルのデザイン選びもすばらしい。シンプルな薄めの天板に、細い脚。でもチープではない。すごくいい感じ。これがちょっとでも存在感のあるものだったら、とたんに邪魔に思えてしまうだろう。
ベッドも棚も、椅子もほかの家具が白で統一されている中、このテーブルだけが木+黒のアイアン。アクセントになっているのに全く邪魔な感じはない。きけば「minneで作ってもらったものなんです」という。つまりしっかりコントロールされたデザインなのだ。ほんとうにすごいな! と思った。
さらに「なるほど!」と感心したのは、これがテーブル兼デスクである点。前出の写真にもあるように、本を読んだりとデスクとして使いつつ、食事もここでとるそうだ。つまり、部屋とキッチンとの間に置かれているのは、使われ方として当然の場所でもある。さらに驚いたのは、ここでちょっとした調理もするのだという。
この部屋に住もうと決めたのも、キッチンが気に入ったからだという。「もちろん無垢床の感じとか雰囲気がよかったのもあるんですが、キッチンがいいな、と思って」。確かにこの白い木のキッチンいいですよね。ぼくもこれいいなー、と毎回思ってる。
料理が好きだという大谷さん。「平日は仕事があってなかなかできないので、土日に豪勢に料理作ります」。とはいえ、コンロも2口でまな板を置けるスペースも限られている。東京のひとり暮らしワンルームで、本気の充実キッチンを求めるのはなかなか難しい。そこで大谷さんが工夫しているのが、脇に置かれたワゴンとくだんのテーブルだ。「ここで食材切ったり混ぜ合わせしたりしてます」。
そうか、べつに調理を全部キッチンでやらなくてもいいんだよな、と気づかされた。広くないワンルームだからこそ、キッチンとテーブルの距離も近くて合理的なんだな。
そういえば、子供の頃よく餃子の皮包むとかコロッケの具材混ぜ合わせるとかを、母親と一緒にテーブルでやったっけ、と思い出した。
実はこの部屋が初めてのひとり暮らしだという大谷さん。新卒の会社員なのだ。「就職で名古屋から東京に来たんですけど、ひとり暮らしだいじょうぶかな……ってかなり不安でした。わたし、心配性で」と笑う大谷さん。仕事しながら掃除も洗濯も、ってだいじょうぶだろうか、と心配だったそう。でもいまやおいしいキャロットケーキも焼いちゃってるのだ。すばらしい。
お話をうかがって、見れば見るほど、この部屋はよく考えられた末にできあがっているんだな、と感じた。部屋づくりにはいろいろな要素があって、ひとり暮らしの小さな部屋でもコントロールするのはかなり難しい。とりあえずてきとうに決めた家具の置き場所が、なんとなくずっとそのまま、ということはよくある。そんなときはまず自分にとって何が大事かを決めて、それを中心に組み立てていくといいのかもしれないな、と大谷さんのテーブルを見て思った。この部屋はテーブルを中心にできあがっている。とてもすてきなことだ。
(最後にもう一度編集部から)
グッドルームのオリジナルリノベーション「TOMOS」のお部屋は、東京・大阪・名古屋・福岡・札幌で、毎月10~20部屋登場します。社員も気に入って住んでいる者が多い、無垢フローリングの居心地のよい空間を体験してみてくださいね。
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大山 顕
写真と文:大山 顕
“ヤバ景” フォトグラファー / ライター。1972年11月3日生まれ。住宅都市整理公団総裁。出版、テレビ出演、イベント主催などを行う。「”ヤバ景”って何?」「”総裁”っておおげさじゃない?」など各種ご興味がわいた方は OHYAMA Ken.com にいってみてください。
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