隠れ家カフェの午後3時
1R(20.07㎡)
goodroomのスタッフが住みたくなる街を紹介する連載。40回目にご紹介するのは品川区「旗の台」です。品川区といえば高層ビルやマンションのイメージがありますが、商店街が多いのも特徴で、様々な暮らしが混在する場所。その中でも旗の台は下町のような親しみやすさを感じられる街なんです。
text : あやけんぴ from goodroom 渋谷
旗の台駅には東急線の池上線と大井町線の2路線が通っています。池上線を使うとJR五反田駅まで約8分、蒲田駅までは約18分。大井町線を使えば大井町駅まで急行で約5分。自由が丘駅や二子玉川駅など、人気の街へも乗り換えなしで行くことができます。
池上線の旗の台駅に降り立つと、特徴的な屋根が出迎えてくれます。2019年7月に「木になるリニューアル」と題して建替えたホームには、多摩産材の木材を活かし、待合室にも木を使用。断熱遮音などの効果もあるんです。
改札は東口(蒲田方面)、東口(五反田方面)、南口の3つ。東口は行き先によって改札口が違うので、利用する際には間違えないように注意してくださいね。
品川区の商店街と言えば武蔵小山や戸越銀座が有名ですが、旗の台も負けてはいません。実は商店街がとても多く、活気がある街なんです。
では早速、駅の東口側から歩いてみましょう。
旗の台駅の東口(五反田方面)を出てすぐに看板を発見。ふむふむ、駅の北東側には2つの商店街があるんですね~。それにしても、初めて訪れる人にもこの地図はとても助かります。
駅を出てすぐの「旗の台東口通り商店会」を詳しく見てみると(地図の黄土色の通り)、飲食店やサービス業のお店、物販とバランスよく混在している印象。
昭和大学病院や高校などの通院通学路として、近隣住民だけでなく他地域からも多くの人が利用する賑やかな通りになっています。
独自性を感じる個人店と馴染みのあるチェーン店が共存しているのもこの商店街の特徴です。
旗の台東口通り商店会からさらに東に進んだところにあるのが「旗ヶ岡商店会」(写真の青色の通り)です。「食・おもてなし・もったいない」というキャッチフレーズを掲げ、様々なイベントを開催したり、美化にも力を入れている商店街です。
住宅も多く、点在する飲食店は隠れ家的な雰囲気を感じました。
目立つ赤い旗を辿っていくと、周囲の安全を祈願して祀られた「子育て地蔵尊」と出会います。たまには見守ってくれている日頃の感謝を伝えに来たいですね。
駅方面に戻ろうと足を進めていると、気になるカレー屋さんを発見。お腹も空いてきたので、お昼はこちらでいただくことにしましょう。
お邪魔したのは「curry but curry」(カリバカリ―)さん。元々は間借りカレーから始まったのが店名の由来なんだとか。
席に着いて店主の西山さんにお話を伺うと、ここは古民家をリノベーションしたんだよと教えてくれました。なるほど、店内に入った時にホッと落ち着くような気持ちになったのも納得です。
カレーは季節の食材を使ったものが2種類。どちらも気になる方にはあいがけがオススメ。
カレーを待つ間に2階も見せていただきました。階段を上がると、そこにはゆったりとくつろげるテーブル席。アコースティックライブや、写真展なども開催されているんだそう。
古民家ならではの立派な梁や、屋根の古い木材がそのまま活かされた空間になっていました。味があってとても素敵です……!
2階を満喫したところで、お待ちかねのカレーとご対面。オリジナルでブレンドされたスパイスに、小麦粉は一切使わず、人口調味料もほぼ使わないというこだわりの一品。健康的で毎日食べても飽きないようにと考えられています。
いただいたのはもちろん「牛すじときのこのカレー」と「バターチキンカレー」のあいがけ。前者は鋭さを感じるピリッとカレー。後者はスパイシーさも感じつつマイルドな味わい。両方を混ぜて食べても美味しいんです。
ぺろりとカレーライスをいただいて、地元が旗の台だという西山さんに街の魅力を聞いてみました。
「お店同士の繋がりも強く、交通の便も良くてとても便利。だけど上品かつ楽しいところが旗の台のいいところだと思います。どこでお店を出すか悩みましたが、やっぱり空気感が馴染みやすいかなと思って、地元にオープンしました」
そして「1番大事なのは人と人との繋がり」と言う西山さん。常連のお客様からは「スタッフがとてもいい人たち。いつも楽しい企画を考えてくれて、お客さん同士でも交流が深まるんです」との声も聞くことができました。ランチでも仕事終わりでも、ふらっと立ち寄りればみんなで和気あいあい、話に花が咲きそうですね。ごちそうさまでした!
さて、お腹がいっぱいになったところで、今度は駅の南の方へと行ってみましょう。
旗の台東口通り商店会から線路を渡ると、そこは「旗の台三丁目商店会」。また新たな商店街へと足を踏み入れることに。こちらには昔ながらのお惣菜やさんや定食屋さん、イタリアンにエスニック料理と様々な飲食店が立ち並びます。
遊具が置かれた児童遊園や公園もあります。学校終わりの時間になると、子どもたちが元気に遊んでいました。
旗の台に来たら、ぜひ探してみてほしいカエル像。ここ一帯は通称「カエル公園」と呼ばれ、地元の方に親しまれています。なんともユニーク!
そんなカエル公園の近くに、カエルグッズを販売するお店があるらしいのでちょっと寄り道してみましょうか。
訪れたのは「フラッグフロッグ」さん。外にテーブルとイスが置いてある理由はのちほど。
中に入るとカラフルでバリエーション豊富なカエルグッズがずらり。
店主のお父様が縁起のよいカエルグッズを集めていたのがオープンのきっかけなんだそう。旗の台の人たちに笑顔になってもらえるようにとの想いが店内にぎゅっと詰まっています。
「地域で子どもたちの成長を見守っていくのが楽しいし大切だと思う。商店街の人たちはみんな仲良しで、コロナ渦の大変な時だからこそ人の繋がりが活きる時だね」そうお話ししてくれた店主の高橋さん。
子ども達にも喜んでもらえるようにと開店当初から駄菓子も販売。どれも昔を思い出すものばかりでしみじみ……。実は外にあったテーブルとイスは、駄菓子を買ってすぐ食べられるようにと設置されているんです。
さらに高橋さんは「この街は治安もいい。うちの町会では12月~1月ごろに火の用心をやっていて、そういった地域の目があるから防犯にもなっているんじゃないかな」と住みやすさについても語ってくれました。
お話しする中で「旗の台が好き」という気持ちが言葉の節々から伝わり、私も胸が熱くなりました。地元の方が地元を愛している街ってやっぱり素敵ですね……。
さて、旗の台の東を満喫し、次は駅の南口の方へと行ってみましょう。
そこで待っていたのは大きな鳥居。ここから続くのは「旗の台稲荷通り商店会」。リサイクルショップやカフェがあり、旗の台病院へと続く通りです。
大通りに向かって歩いていくと、急に鳥居が現れます。この商店街の名前の由来になった「旗の台伏見稲荷神社」です。せっかくなので、参拝させていただきました。
今度は駅の方に戻り、荏原町駅まで続く長い通りを歩いていきます。旗の台稲荷通り商店会から荏原町駅へと続く通りは「旗の台ふれあいろ~ど」と呼ばれていて、ここには「旗の台五丁目商店会」と「旗の台中央商店街」の2つの商店街が繋がっているんです。
この通りだけでも生活が潤いそうです。
ちょっぴり懐かしさを感じる書店。不用品も買い取っていて、いろいろな物が売られていました。それにしても、側面にある自販機の多さに目が引かれます。
ふれあいろ~どを東に進んでいくと、食パン屋さんに花屋さん、そしてコーヒー屋さんが続きます。
あれ、いつの間にか、「旗の台四丁目商店街」に。それぞれの商店街は繋がっているので、意識していないと変わったことに気づかないかもしれません。
地元の人で賑わうお洋服屋さんのお隣には、珍しい品も販売しているリサイクルショップ。新旧が組み合わさった雰囲気を感じます。
お米屋さんではお米だけでなく、手作りのお弁当やお惣菜も販売。店頭に並ぶおはぎがとっても美味しそうでした。
大通りから1本入ってみると、銭湯を発見。こじんまりとしたものかと思いきや、なんと14種、18の浴槽が楽しめる全国初の健康増進型銭湯なんです。これはすごい。
炭酸泉や流水歩行プール、洞窟風呂、岩塩サウナ、薬湯、さらには露天風呂まで。それでいて大人470円(令和2年10月現在)と、毎週でも通いたくなっちゃいますね。
大通りに戻り、荏原町駅の方へと向かっていくと馴染みのあるスーパーが見えてきます。まとめて食材を買いそろえたいときに便利ですね。
荏原町駅付近には「旗の台」という地名の由来になった神社があるんです。旗の台巡りの締めに向かってみましょう。
その名も「旗岡八幡神社」。住宅街の中に社を構え、お隣には法連寺があります。
歴史は1030年からと古く、平忠常の乱を平定するためにこの地に立ち寄った源頼信公が戦勝を祈願し、高台で源氏の白幡を立てて武威を誇ったことが「旗の台」の由来なんだそう。
神社で1番大切な行事である例大祭には境内に百件近い露店が立ち並び、大勢の参拝客で賑わいます。御神輿が街を渡り歩き、地区全体で盛り上がるお祭りなんです。
フラッグフロッグの高橋さんが「この街の人は祭りが好きなんだ」とおっしゃっていたのを思い出します。穏やかさだけでなく、華やかな一面も持っている街なんですね。
さて、一通り旗の台を散策してきましたが、商店街はいくつあったでしょうか?
ジャン!正解は7つ。商店街ごとに異なる特色を持っていますが、誰もが人との繋がりを大切にしていて、地方から来た学生や社会人の方でも馴染みやすい街だと感じました。
まさか東京の品川区でこんなに懐かしさとあたたかさを感じる街に出会えるとは。田舎出身の私も、いつのまにかこの街が好きになっていました。
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あやけんぴ
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電車の1日乗車券を買って、行ったことのない街をお散歩するのが最近のブーム。何気ない日常が明るくなるような、アイテムやお店を探しています。