京都からの引越し – Good Room For The Weekend by Homecomings 福田穂那美 –
フォーピースバンド Homecomings のメジャーデビューアルバム「Moving Days」は、その名の通り「引越し」がテーマ。goodroom とのコラボレーションで、メンバーの皆さんによる連載がスタートします。 第3回は、ベースの福田穂那美さん。生まれ育った京都からのお引越し。上京を決めた際に感じたことや住む街を選んだ時のエピソードを聞かせてくださいました。…
フォーピースバンド Homecomings のメジャーデビューアルバム「Moving Days」は、その名の通り「引越し」がテーマ。goodroom とのコラボレーションで、メンバーの皆さんによる連載がスタートします。
第4回は、ドラムの石田成美さん。今の部屋を選ぶ決め手にもなったという、気に入っているキッチンについて、そしてご自身の料理について、教えてくれました。
text & photo : Homecomings 石田成美
今のキッチンはすごく気に入っている。この部屋を選んだ決め手のひとつでもある。
部屋の角に沿って長い辺がシンク、その右手にコンロがある今どき珍しいL字型。キッチンの周りにだけ水色のタイルが貼られていて、部屋の良いアクセントになってくれている。本当は部屋に向けて開かれた形になっているけど、ダイニングとキッチンスペースを分けたくて、シンクの向かいに食器棚代わりのシェルフを置いてコの字型にして使っている。棚の中にはよく使う食器やフライパン、上にはオーブンレンジと炊飯器、トースター、コーヒーメーカー。シンク上の吊り棚には、バットや小さめのボウル。誕生日にもらった蒸籠やコレクションのスパイスたちは出番こそ少ないけど、そこに並んでいるだけで嬉しくなるから見えるところに置いてある。料理するときの動線も良いし、程よく狭いこの空間はなんだか自分のコックピットみたいで家の中でもすごく落ち着ける場所だ。
実家で暮らしていたころは、思いつきでケーキを焼いてみたり、休みの日に自分の朝ごはんにホットケーキを焼いたりすることはあっても、家族みんなの晩ご飯を用意することなんて全くなかったし、お母さんの手伝いをしても出来上がった味噌汁をよそうくらいだった。今となっては実家にいる間にお母さんから少しも料理を教わらなかったことをすごく後悔している。
料理をするようになったのは、大学を卒業して一人暮らしをするようになってからだ。自炊なんていつまで続くだろうかと心配していたけど、レシピに沿って作るという作業が思いの外楽しくて、狭い作業台と1口しかないガスコンロのキッチンで、煮込み料理から、揚げ物、焼き魚、土鍋ごはん、おせち風のものまで、(もちろん面倒くさくてお茶漬けの日もあったけど、)だいたい毎日新しいレシピでいろんな料理を作った。飽き性なのもあって、一つの料理を極めるというよりは、あんまり上手く出来なくてもなんとなく形になればオッケー!当時はどんどん新しいレシピに取り組むことがわくわくして仕方なかった。「自炊続けてすごいね、偉いね。」と言ってもらえることもあったけど、その度なんかしっくりこないなあと感じていた。自分にとって料理を作ることはプラモデルを組み立てている感じと似ていて、黙々と集中して打ち込める趣味みたいなものかもしれない。そんな風に思えたのは、それまで趣味と言えるものがなかった私にとってすごく大きな発見だった。
結婚をして、新しい家族と一緒に暮らすようになって、料理を作ることの意味がまた少し変わった気がする。自分のためだけに作っていた時よりもっともっと生活と近いものになって、今までのとにかく作る楽しさ優先だった献立も栄養や味のバランスを考えるようになったし、好評だった料理は我が家の定番になっていく。一人暮らしのときのように趣味として時間を割くことが難しくなっても、楽しむことを忘れずにいられたらいいなと思う。
(Homecomings 石田成美)
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