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インタビュー:創作ユニット sunui(スヌイ)さん 『美味しいものと人と雰囲気と』

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第2回 創作ユニット sunui(スヌイ)さん
『美味しいものと人と雰囲気と』

キャプション1

sunui (スヌイ) プロフィール
(写真左より)根岸麻子 冨沢恭子 片平晴奈 白石陽子
武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科の同級生。2004年より sunui として活動をはじめる。旅をして得た素材とシルクスクリーンをベースに、1点もののバッグやアクセサリーなどを制作。不定期に開催する展示会やONLINE SHOPで販売している。また手を動かしてグラフィックデザイン、WEBデザイン、ディスプレイなどを手がける。ハナレグミ、Clammbonのライブグッズやステージ装飾なども行う。

4人でつくる世界。

sunui=スヌイ。呪文めいた、あるいは外国のお酒や薬草のような謎めいた響きを持つ言葉。じつは、沖縄の言葉で「もずく」の意。美術大学時代の同級生である、“はるちゃん”こと片平晴奈、“あーちゃん”こと根岸麻子、“きょん”こと冨沢恭子、“ようこ”こと白石陽子、女子4人組のユニット名である。
漢字にあてはめると「素縫い」。彼女たちの仕事はその漢字の意味通り、下縫い無しに、待ち針も打たず、留め結びもせずに情熱のおもむくままひたすらチクチク、トントン。おもにアジア各地を旅しながら集めた生地や糸やビーズ、金物屋で見つけた金型やワッシャー、ビスや丸カンなど、あらゆる異素材を組み合わせて、バッヂやバッグ、アクセサリーを作ったり、ときにはアーティストの舞台装飾や衣装、展示スペースの空間づくりなども手がけている。活動を始めて11年目を迎えた。

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スヌイの“社長”(あだな)、はるちゃんは、旅先で外国人に間違われるアジアンビューティー。

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整理整頓が得意なあさちゃんは、立派なフラガールを目指し修行中。

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『Kuu Kuu』でのイベントで飾り付けをした際の思い出のフラッグを持ってきてくれました。

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代表作カンカンバッヂは、初期から作り続ける代表作。スヌイの世界が、ピアス、キーチェーンなどさまざまなアイテムに落とし込まれる。

旅することで鍛えられた嗅覚。

旅は創作の原動力——。sunuiの4人はそう話す。学生時代に初めて訪れたのはタイとラオス。その後、正式にsunuiを結成してからは、中国各地やベトナム、シンガポールなど、さまざまな土地を4人で旅し、積極的に創作のための素材探しをした。市場の片隅にある荒物屋、商店街で見つけた古い金物店や生地屋など、ぶらぶら歩いていると、ビビッとくるというか、アンテナに導かれるように心惹かれる店が表われる。その感性は4人共通なのだという。
目配せをして入店すれば、あとは無言で物色。各々がいいと思う物を手に取り、レジに持ち寄ってまとめて購入。それぞれ勝手に選んできたのに、まとまって見ても、不必要と感じるものはまず無いというから不思議である。
それは、食事の際にも同じこと。余りある予算があるわけではないというのももちろんあるが、三度のご飯は好んで市場の屋台や庶民の食堂へ行く。しばらく歩き回っていると、数ある店の中にキラリと光る一軒が見つかる。屋台で食べても、今まで一度もお腹を壊したことがないというのが4人の密かな自慢でもある。それどころか、リピートしたくなるような美味しいご飯にありつけることが多いのだという。

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スヌイで一番無口なようこ。4人の活動と並行して、自身のブランド『babaco』を立ち上げている。http://babaco.jp/

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“女将”と慕われるきょんちゃんの料理上手は仲間内では有名。柿渋染めバッグを作る作家でもある。9月18日より、清澄白河の『ババグーリ』にて個展を開催。

鼻をきかせて歩けば出会いに繋がる。

おもしろそう、美味しそう。そんな自分たちの野生の勘? を頼りに、旅も仕事も選び、進んで来た4人。鼻をきかせて歩んできたことが、結果として素敵な出会いに繋がってきたと話す。
この日、取材場所に選んだ吉祥寺にある『キチム』は、以前は『KuuKuu(クウクウ)』という店があった場所。4人は、味わい深い多国籍料理が食べられるこの店が大好きで、学生のころからよく通っていたという。はるちゃんの呼びかけでsunuiが結成することに決まったのもこの店。閉店した後も、ここで出会ったスタッフや常連さんと今でも付き合いがある。そして、その繋がりは後のsunuiとしての活動、ひいては仕事にも結びついていった。
『KuuKuu』閉店後、スタッフが同じ場所で別の店を開き、その後、やはり『KuuKuu』に縁のあるオーナーによって、今の『キチム』ができたそうで、その際には、内装の一部をsunuiが手がけることになった。

写真2

あたたかい雰囲気のキチムの店内。

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学校にあるような有孔ボードを模した壁はスヌイ作。可動式の棚や照明を自由に取りつけられる。

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手作りのケーキは、スヌイもおすすめのおいしさ。

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柿渋染めの土偶ならぬ布偶は、きょんちゃん作。お店のどこかにいます。

美味しいは幸せ、幸せは雰囲気、

そんな雰囲気がある場所には、素敵な人がいる。

sunuiの宝物は、人との出会い。4人と話せば、言葉は違えどそれぞれから同じ答えが返ってくる。今ある自分、これからの自分。支えてくれるのは、いつも人。ものづくりをしていて何が幸せかといえば、sunuiのつくるものを使ってくれる人、見てくれる人、楽しんでくれる人がいるということ。4人はそう話す。そして、数々の素敵な人と出会ったときを思い返せば、その傍らにはいつも美味しい料理があったということも。
だからこそ、sunuiにとってのgoodspotはさまざまな料理屋さん。たまたま見つけた韓国料理店のオモニの優しい人柄に惹かれたり、通っているうちに家族のように思えてきてしまったという、小料理屋の大将とおかみさんのこと。美味しい味を思えば、同時にある人の顔が浮かぶ。
そうしてsunuiは、今日も街をぶらぶら。クンクン嗅覚を敏感に、美味しい香りに誘われてピンっと来たら暖簾をくぐる。4人にとってのgoodspotは、出会いの場なのである。

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★sunui からのおしらせ
8月21日より、山口県のロバの本屋にて、sunuiと冨沢恭子の展示会があります。
9月に湘南T-SITE内にあるCLASKA Gallery & Shop “DO” でsunuiのフェアがあります。
http://www.sunui.jp/

文・つるやももこ
1975年埼玉県生まれ。女子美術大学デザイン学科卒。2000年より、全日空機内誌『翼の王国』編集部にて、取材・執筆の仕事に就く。2006年にフリーに。主な雑誌は、『Ku:nel』(マガジンハウス)、『旅』(新潮社)著書に、絵本『もものじてん』(すえもりブックス)、『マーケット日和』(アノニマスタジオ)、『旅のかけらの残し方』(アスペクト)がある。主に旅、地域の食や伝統工芸・地場産業など取材・執筆している。

写真・長野陽一
福岡県出身。1998年、沖縄、奄美諸島の島々に住む10代のポートレイト写真「シマノホホエミ」を発表。以後、全国の離島を撮り続けシリーズ化。2001年にそれらをまとめた写真集『シマノホホエミ』を情報センター出版局より、2004年に『島々』をリトルモアから上梓。2008年、改訂版『シマノホホエミ』をフォイルより出版、各地で展覧会を開催。2012年、島に暮らす人々を海の中で撮影した写真集『BREATHLESS』をフォイルより出版。合わせてFOIL GALLERY(京都)、AL(恵比寿)にて個展を開催。

sunuiさんのgoodspot

キチム(吉祥寺)

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ランチもケーキもおいしいカフェであり、不定期でライブやイベント、展覧会も開かれる自由な空間。かつてここには、料理家・高山なおみさんがシェフをつとめる『Kuu Kuu』があり、学生時代から通い詰めたレストランで、スヌイ結成の場所でもある。
http://www.kichimu.la/file/

ちゃんぷる~(下北沢)

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下北沢の沖縄料理店では老舗的存在。とにかく価格が良心的で、何を食べてもおいしい。はるちゃんの元バイト先でもあり、オーナーの厚意で近くの場所を借り、スヌイの作品を売る実店舗をオープンしていたこともある。
http://tabelog.com/tokyo/A1318/A131802/13007065/

パナス(国分寺)

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最初のアトリエを構えたのが国分寺。いつも駅前でチラシを配っていて、その真面目さと熱心さに心をうたれていた4人。製作の合間によくランチを食べに行った。カレー2種とナン、サラダが付いたセットが定番。
http://tabelog.com/tokyo/A1325/A132502/13016063/

秀永(国分寺)

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酸辣湯麺が人気の街中華。でもほとんどの常連さんは、定食を選ぶというのが、庶民の食堂といったかんじ。掃除がいきとどいているのがプラスポイント。スヌイおすすめは、レバー炒め定食と棒棒鶏麺。
http://tabelog.com/tokyo/A1325/A132502/13016093/

釧路食堂(武蔵小山)

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大好物は、釧路のからあげ、サンギ。
扉を開けると、ザンギの揚げ油の香りとカウンターに並ぶ常連さんの声。
仕事終わりにふらりと寄って、瓶ビールとポテサラ、ザンギをつまみながらホッとしていた懐かしい思い出がある。
http://tabelog.com/tokyo/A1317/A131710/13037246/ 

京(武蔵小山)

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ご夫婦で営む割烹・小料理の店は、きょんちゃんが見つけて、アトリエの行き帰りにずーっと気になっていた店。あるとき勇気を出して入店。アトリエはもう引っ越してしまったが、以来、武蔵小山に行ったら必ず寄る大好きな場所になった。何を食べても、丁寧で美しい料理。黒板にかかれたメニューを端から頼みたくなるお店です。
http://tabelog.com/tokyo/A1317/A131710/13081705/

アシア(参宮橋)

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今のアトリエは参宮橋。深夜まで空いているので、仕事終わりにお腹を満たしに行く行きつけ韓国料理。オモニの優しい人柄にも惹かれている。働いている人がいい店は、味も間違いなくおいしい。それがスヌイの定説。純豆腐定食がおすすめ。
http://tabelog.com/tokyo/A1318/A131810/13093561/

喰しん坊つちや(代々木)

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いつも大にぎわいの居酒屋さんで、一度行ってみたいと思い入店。炒め物、焼き鳥、卵焼きと一通りなんでも食べれる優秀店。なんと、朝の5時まで営業しているそうで、深夜作業の合間にお腹がすいたら、駆け込むご飯やさんができてうれしい。
http://tabelog.com/tokyo/A1304/A130403/13060875/

ロギ(沖縄)

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沖縄に行ったら立ち寄る友人夫婦が営む店。妻がパンを焼き、夫が料理を作る。 米軍ハウスを改装した店は、庭も広くて、さらに高台にあって景色が素晴らしいので一見の価値ありです。
http://tabelog.com/okinawa/A4703/A470301/47002320/

ワルン(高知)

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まるでアジア食堂。高知には友人がたくさんいるけれど、この店はその仲間のランドマーク的な場所。とにかくおいしく、愛すべき場所です。
http://tabelog.com/kochi/A3901/A390101/39000413/

大砂走り

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スヌイは体力があります。富士山にも何回も登頂している。その下山ルートは決まって「御殿場ルート」を選択。なぜならば、大砂走りを体験したいから。
長い長い砂の坂道を、全力疾走して滑り降りる。富士山登山の醍醐味!
http://www.camp-outdoor.com/tozan/fujisan/fujinomiya_gotenba.shtml

能古島

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福岡県にある小さな島。友人が何度か「ノコノコロックフェスティバル」という音楽フェスを開いたことがあり、その舞台装飾とを担当するために訪れている。普段はとっても静かな島。砂浜に座って缶ビールを飲む瞬間が幸せです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%83%BD%E5%8F%A4%E5%B3%B6


文中に紹介したsunuiさんのおすすめスポットは、『街と暮らしのクチコミアプリ goodspot』で詳細を見ることが出来ます。
ぜひ使ってみてくださいね。

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