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「音楽好き」が集まる不動産屋さん!? 「楽器演奏可」物件を専門に扱う株式会社ソナーレの思い

株式会社ソナーレは、「楽器演奏可」を明確に打ち出したマンション、アパートを専門に扱う、ちょっと変わった不動産屋さんです。

音楽が好きで楽器の練習ができる場所を求めている人にとって、ニッチなニーズに応えてくれるありがたい会社ですが、そのコンセプトに至った経緯や、音楽に対する思いをお聞きしてみると、非常に引き寄せられてしまうお話がたくさんお聞きできました。

池袋駅近くにあるソナーレの店内。明るく和やかな雰囲気ですね。

池袋駅近くにあるソナーレの店内。明るく和やかな雰囲気ですね。

株式会社ソナーレ代表取締役社長の半田成士様、取締役部長の益子佳久様、同じく取締役部長の丸山和明様にお話をお聞きしました。

前身は、とても面倒見の良い楽器屋さん

半田様|ソナーレは、もともとは楽器店が前身で、そこから独立した会社です。元はヤマハの楽器を扱う楽器店で、そこに「音大部」がありました。北海道から沖縄まで、全国の音大生が受験のために上京します。入学となったら、特にピアノ科の学生さんはグランドピアノを購入されるんですが、その時にただ販売するのではなく、一緒に住まいを案内していたのです。

80年代ごろからそうしたビジネスをやっていたのですが、その頃は楽器の演奏できる物件も少なくて、普通の不動産屋さんでは扱っていませんでした。そこで、音大の周辺で理解のある大家さんを調査して、アパートを紹介していました。

音大の受験生たちは、高校3年生までは地元の楽器店や音楽教室にずっとお世話になっていて、上京の際には東京の我々に声をかけてくれるという関係性があったんです。ピアノ弾けるところはないですかという相談から、女性なら、セキュリティーもここなら管理人さんがいるから安心ですね、といったアドバイスまで、自分で車を運転して案内もしていました。東京の親戚みたいな感じでしたね。音楽を専門的にやっている人と、楽器屋さんというのはそういう関係ができていました。

そうしたサービスをしている中で、「ピアノは家にあるものを持ってくるから買わない」というお客様も結構いらっしゃったので、宅建免許を取り、そこからは不動産仲介手数料の収入がどんどん上がっていきました。楽器屋さんの中ではあくまで楽器の売上がメインということがありましたので、不動産の部門だけ独立をした、それがソナーレの始まりです。

代表取締役社長の半田成士様

代表取締役社長の半田成士様

「音楽好き」が集まる会社

半田様|もちろん「音楽愛好家のために」というのはポリシーとしてあります。特に父兄の方々には大変喜んでいただけますし、それはすごくありがたいですね。

ただ、一番大きいと思っているのは、私自身が音楽が好きだということ。音楽が好きだったから、楽器店に入って、その延長で今があります。音大卒の社員も多いんですよ。今年の3月には、社員でバンドを結成して演奏もしました。私がサックスで、益子はトランペット。丸山がピアノ。

益子様|私はこの会社に入るまではミュージシャンを目指していて。テーマパークのマーチングバンドに入っていたんです。今在籍している社員で「部屋探しをしていた時、ソナーレに問い合わせました」という音大卒の女性もいます。丸山はピアノをやっていて、パリに留学したこともあるんですよ。

丸山様|私にとっては、不動産屋さんって「怖い」っていうイメージがあったんですよね、騙されちゃうんじゃないかとか、言いくるめられちゃうんじゃないかとか。今は昔ほどではないかもしれませんが。今、お部屋を案内している時も、「僕も音楽やってるんですよ」て言うと、それだけで安心してくれるんですよね。若い社員の中にも音楽をやっている社員は何人もいて、「元楽器屋さんだったんですよ」とか、「音楽をやっているんですよ」というと、一番お客様が安心してくれます。

益子様|例えば「グランドピアノを部屋に置いていて、その下に足を突っ込んで寝ていた」という丸山のエピソードを話したりして。そういう「私たちも同じ経験をしているんですよ」というエピソードは、お客様に伝えるとすごく共感してもらえます。

半田様|そこでグッと距離感が縮まるという経験はみんなありますね。そこが一番、強いのかな。楽器のことも、楽器をやっている人の気持ちもわかる。

あるお客様が、不動産屋さんで「ユーフォニアムをやるんだけど、大丈夫ですか?」という質問をして、相手から「どんな楽器ですか?」て言われると、もう「あ、無理だな」て思っちゃうんですよね。うちではわかるので「大丈夫ですよ」と答えられます。

ピアノを運ぶのも大変で、中にはピアノが入らない場合もあるんです。うちでは、「この大きさまでのピアノは入ります」というところまで、全て調べてあります。それはうちだけでしょうね。

丸山様|ソナーレでは、全国の音楽高校や、入居者さんの母校を定期的に訪問しています。先生と顔を合わせて、生徒さんを紹介していただく関係性作りのためですが、そこで「何か困っていることはないですか?」とお聞きしています。

益子様|ソナーレの根本的な考え方で、「ビフォアサービス」というのがあって。買ってくれた後じゃなくて、買ってくれる前にも積極的にサービスしようと。受験生が困っていることを先回りして対応していきたい。どんなことに困っていて、私たちがどんなことをすれば喜んでもらえるかをいつも探しています。

提供したいのは楽器を存分に練習できる環境

半田様|音って、人によって捉え方が違うので難しい部分も多いですね。例えばみなさんがよく使う「完全防音」という言葉は、私たちからすると誇大広告だと感じるので使っていません。24時間演奏可能なところでも、全く音が聞こえないというわけじゃない。逆に、全く音が遮断された環境で暮らしていると、おかしくなってしまいます。ある程度ざわざわしていた方が落ち着くという部分はあるんですね。

防音性能が高い物件も色々あります。例えばヤマハやカワイの建材を使って施工したマンション。音が隣同士聞こえない、24時間演奏できるところを求める人にはそういうところをおすすめします。ただ、そうなると賃料が高くなったり、壁が厚くなるので居住スペースが手狭になったりと、一長一短あります。

実際には、音楽をやっているからといってそんなに高い家賃を出せるかというと難しくて。大事なことは、防音性能より、音楽をやっていても周りからクレームが来ないという環境。じゃあそれを作りましょう、と。隣の音は聞こえてもお互い様、何時から何時までは演奏可能とルールを決めて。でも防音のサッシを使って、外には聞こえないように。8割ぐらいはそういう物件ですね。そうやって、賃料はそれほど上がらないようにしています。

益子様|よくある「楽器相談可」となっている物件って、確認してみたら消音器をつけなくちゃいけないとか、「ある程度の音量までは」とか、何か条件があって、私たちから見ると楽器可とは言えない物件も多いんです。私たちは「楽器演奏可」。明確さを提供しています。

丸山様|何か気がかりがある中で練習をすると、それは練習にはならないので。気がかりなく、思い切って楽器に打ち込める環境を提供したいと思っています。楽器をやっている人は周囲からクレームを出された経験がある人が多くて、そうなるとビクビクしちゃって練習にはならないんですよね。「これぐらいだと聞こえちゃうかな?大丈夫かな?」と気にしながらだと、上達しないと思うので。

益子様|ソナーレの物件では、何時から何時まで楽器演奏可能と明確にルールを設けていて、そのルールを守った中で苦情を言う人がいたら、苦情を言った側にご理解いただくようお願いしています。気兼ねなく自由に音が出せる環境はお約束しています。

一生音楽を続ける人を応援したい

半田様|音楽演奏可能なマンションが増えるということは、音楽文化全体とも関連してきます。楽器店や音楽教室も、生徒さんが練習して上達していくと長く続けてもらえますし、音大も、生徒さんの練習の場があって実力をつけてもらえると、音楽全体の文化が発展していくわけですね。

益子様|音大を出た人が、どうやって音楽と関わりながら経済的にも自立できるかということを、日本はまだ確立していないんですよね。音大出てる人は、人前で演奏して何ら問題ないレベルに達しているわけですから、その人たちがもっと音楽も経済も両方が成り立っているということを、なんとか音楽をやっている人たちに提供したい、ということを考えています。そういう方がうちのマンションに入居してくれる、ということが目的としてあるんですけど、そのために音楽をやる人がしっかり収入を得られる社会が必要かなと。アメリカでは、普段は他の仕事をしていて、週末はトッププロのような演奏をしているというのが当たり前で。日本では音楽をやっている人が他の仕事で収入を立てると、ちょっと恥ずかしいみたいな観点もあるんですが、経済的な基盤の上に音楽というものの喜びがあるんですよということを提案していきたい。それが結局ビジネスにつながるという信念があります。音楽やっている方々がいなくなると、私たちもいないので。

半田様|今のお客様は音大生が半分ぐらい、あとの半分は、社会人で何か仕事をしながら音楽も続けている、という方。そういう方が増えてきましたね。音大を卒業して、音楽の道でやっていくというのは、本当に一部の方じゃないですか。全然違う仕事についても、音楽を続けていく、そういう姿を応援したいという思いがありますね。

何より自分自身が「音楽が好き」という思いから、ミュージシャンが生き生きと暮らしていける社会、豊かな音楽文化のある社会のため、親身になってその環境づくりをしてくださるソナーレ。「ずっと、音楽を続けていきたい」という気持ちを持つ人にとって、本当に頼りになる存在だなと感じます。

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