陽当たりの良さにほっと一息。イラストレーターさんの部屋
 
陽当たりの良さにほっと一息。イラストレーターさんの部屋

TOMOS people Vol.19陽当たりの良さにほっと一息。イラストレーターさんの部屋

写真家・ライターの大山顕さんに、ちょっとおもしろい撮り方で、無垢床リノベーション「TOMOS」のお部屋と住んでいる人の「平面図」を撮ってもらうシリーズ。
今回は、女性イラストレーターさんの一人暮らしのお部屋に訪問。部屋で仕事するため、「陽当たり」が最優先だったという彼女は、これがなんと9回目の引越し。さすが、すっきり整理された気持ちのよいお部屋でした。
(編集部)

『沼』から脱出

とにかく明るい部屋だ。上の平面図写真で分かるように、部屋の長辺方向が窓。これはいい。「以前住んでいた部屋がほんとうに暗くて。友達に『沼』って呼ばれてました」と、加賀谷さん。今回おじゃましたこの部屋に住んでいるのはこの方だ。「だからとにかく陽当たりがいちばんの条件で、それでここを選びました」。それにしても沼って。ちょっと見てみたい。

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「『沼』に住んでいたときは、ベッド置きたくなくてふとんで。ここに越してきてようやく置けました。窓際ですごくいいです」とのこと。

「『沼』に住んでいたときは、ベッド置きたくなくてふとんで。ここに越してきてようやく置けました。窓際ですごくいいです」とのこと。

今の状態を見てしまうと想像するのが難しいが、この部屋、入居前はワンルームではなく2つに仕切られていたという。ちょっとせせこましい感じだったのではないか。それがリノベされて今の状態に。「キッチン別じゃない方がいいですよね」と加賀谷さん。おかげで明るさも増したのではないか。時代で異なる入居者の家族構成や、ライフスタイル、設備や断熱の性能進化などによって求められる間取りはどんどん変わる。リノベーションの物件を見るたびに、できることはまだまだたくさんあるよなあ、としみじみ思う。

リノベ後の今は、このようにかるく仕切られている。ドライフラワーがすてき。

リノベ後の今は、このようにかるく仕切られている。ドライフラワーがすてき。

これが9回目の引越し

さて、加賀谷さんはフリーのイラストレーター(サイトはこちら)。「沼」時代は会社員だったそうだが、現在は家で仕事をしている。「あまり外出しないので。『沼』じゃだめだ、と」。ぼくがびっくりしたのは「イラストレーターさんにしては物が少ない!」ということ。仕事柄、本が多くなりそうなものだ。特に大判の。

と思ったら「いらないものはだいたい実家に置いてあるので」とのこと。それによく見てみれば、要するにちゃんと整理整頓されているのだった。「資料」の名目で買い散らかして積ん読がタワーのようになっているぼくの部屋とは違うのである。面目ない。

決して広い部屋ではないが、まったく窮屈な感じがしないのは、背の高い家具がないからもあるだろう。そもそも、まず家具が少ない。すっきりしててうらやましい、と言うと「これだ、と気に入る物がなかなかなくて。妥協したくなくて『とりあえず』という感じで使ってます」とのこと。中でもいちばんびっくりしたのは「そういえば、いままでゴミ箱を使ったことがない」とおっしゃったこと。見回してみると、確かに、ない。一昔前の、パソコンが普及する以前のイラストレーターさんだったらありえないことだろうな、と思った。

いつも仕事をしているデスクの下もこのとおりの物の少なさ。びっくり。そしてこのボックス、連載2回目のMさんちほか、すてきな部屋でちょくちょく見るリンゴ箱だ!

いつも仕事をしているデスクの下もこのとおりの物の少なさ。びっくり。そしてこのボックス、連載2回目のMさんちほか、すてきな部屋でちょくちょく見るリンゴ箱だ!

冷蔵庫の横にも。リンゴ箱、さいきん人気ですよね―、って言ったら「それ、自作です」と加賀谷さん。えっ! 自分で作ったんですか! すごい。

冷蔵庫の横にも。リンゴ箱、さいきん人気ですよね―、って言ったら「それ、自作です」と加賀谷さん。えっ! 自分で作ったんですか! すごい。

きけば加賀谷さん、この部屋で9回目の引越だそうだ。毎回取材同行している編集の田村さんも引越好きだそうだが、無類のめんどくさがりやのぼくには信じられない。考えてみれば、部屋は試行錯誤できても、家具は本当に気に入った物が見つかるまで買わない、ってすごくおもしろい。いつか加賀谷さんが「これだ!」という家具に出会って部屋に揃えたあかつきには見に行きたい。

テーブルと椅子は「実家のそばにあるカフェが改装するときに、全部セット1万円で売ってもらった」のだそうだ。

テーブルと椅子は「実家のそばにあるカフェが改装するときに、全部セット1万円で売ってもらった」のだそうだ。

そしてクッションはお母様の手による物。かわいい。「実家感」ただようパッチワークだが、ふしぎとこの部屋の雰囲気にしっくりと来ている。

そしてクッションはお母様の手による物。かわいい。「実家感」ただようパッチワークだが、ふしぎとこの部屋の雰囲気にしっくりと来ている。

ともあれ、現在の家具や調度にこだわりはないとおっしゃるものの、雰囲気はじつにすてきだ。どうしてだろう。ふしぎ。

「鉄塔」がつないだ縁

ここで好例の「何か物を並べてもらう」ですが。実は加賀谷さんとぼくは数年前に一度お会いしているのだった。今回のこの取材での再会はまったくの偶然。びっくりした。どういう縁で会ったのかというと、鉄塔を見て回るツアーで、だ。あの鉄塔だ。電気を運んでいるあれ。

工場や団地、ジャンクションといった土木構造物を写真に撮っているぼくには、鉄塔趣味の知り合いが何人かいる。そのひとりである長谷川秀記さん(写真集「東京鉄塔」を出版している)が主宰するツアーだった。ツアーと言っても同好の士で鉄塔をつたって歩くだけだが、これがとても楽しい。参加者は大勢いて、その中に加賀谷さんがいらっしゃったのだ。当時まだ学生さんだった。そう、鉄塔趣味人なのだ、加賀谷さんは。

ということで鉄塔関係の本・資料を出して並べてもらいました。でてくるでてくる……!

ということで鉄塔関係の本・資料を出して並べてもらいました。でてくるでてくる……!

メーカーの資料なども興味深いですが、とくに惹かれたのがこちら。加賀谷さんが学生時に制作したという鉄塔の本。

メーカーの資料なども興味深いですが、とくに惹かれたのがこちら。加賀谷さんが学生時に制作したという鉄塔の本。

鉄塔の種類による「見立て」のすすめ。この鉄塔が縁取る風景の表現いいな! って思った。

鉄塔の種類による「見立て」のすすめ。この鉄塔が縁取る風景の表現いいな! って思った。

鉄塔ツアーのときの写真も載ってた。ぼく写ってるじゃないか。なつかしい。

鉄塔ツアーのときの写真も載ってた。ぼく写ってるじゃないか。なつかしい。

そしてこれは鉄塔の絵本。もちろん加賀谷さんが作ったもの。

そしてこれは鉄塔の絵本。もちろん加賀谷さんが作ったもの。

この鉄塔足元のトラスの組み方描写に「うむ」と頷く人も多いのではないか。すごくすてきだ。出版してほしい!

この鉄塔足元のトラスの組み方描写に「うむ」と頷く人も多いのではないか。すごくすてきだ。出版してほしい!

すっかり部屋の話じゃなくなっちゃって申し訳ない。編集の田村さんも同じく土木趣味をたしなむ人なので、3人で「鉄塔いいよねー」ってすっかり見入っちゃって。同行してたgoodroomの営業さんがちょっと引いてた。

ともあれ、再会が部屋の取材ってなんだかちょっといいな、って思ったことと、飾り立てないすっきりとした部屋はとてもすてきで見習いたい、ということ。そして鉄塔趣味のイラストレーターとして今後の活躍が楽しみだ、ってことです。

恒例の「ねっころがってポートレート」。加賀谷さん、ありがとうございました。鉄塔の絵本出版されないかな―。

恒例の「ねっころがってポートレート」。加賀谷さん、ありがとうございました。鉄塔の絵本出版されないかな―。

加賀谷さんのウェブサイト、SNSアカウントはこちら。素敵な作品がたくさん載っていますよ。
ウェブサイト:http://kagayakanako.com
Twitter:@s_abao
Instagram:@kanakokagaya

大山 顕

写真と文:大山 顕

“ヤバ景” フォトグラファー / ライター。1972年11月3日生まれ。住宅都市整理公団総裁。出版、テレビ出演、イベント主催などを行う。「”ヤバ景”って何?」「”総裁”っておおげさじゃない?」など各種ご興味がわいた方は OHYAMA Ken.com にいってみてください。
Twitter (@sohsai)Facebook

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